みなさんこんにちは。漫画大好き夢見るミドサーのうさこです。
本記事では、ドラマ化で話題となり、ついに完結を迎えた、蒼井まもる先生の「あの子の子ども」の登場人物である、「ライムちゃん」について、いろいろと思うところがあったので、考察していきたいと思います。
最終巻10巻が、2024年11月13日発売されました!
本編は9巻で実質完結しています。10巻には福と宝の過去を描いた番外編2本と、ライムちゃんの生い立ちから、妊娠出産がどのような結末を迎えたかを描く番外編「来夢」、福と宝、真の17年後を描いた番外編「花火」が収録されています。
ライムちゃんの結末に関しては、正直言ってかなり辛い描写も含まれていました。が、蒼井先生が現実を描いてくださったことで色々と考えさせられました。
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では、私の感じたことを書いていきたいと思います。
ライムちゃんについて
ライムちゃんは、「あの子の子ども」7巻から登場します。主人公・福と同じく、10代で妊娠、これから出産を控えている女の子としてSNSで知り合い、意気投合します。
9巻までの感想はこちら
9巻までに描かれた人物像
インスタグラムで福と知り合った「ライムちゃん」は、妊娠中でしか共有できないような話題を通じてすっかり意気投合。お互いの悩みや不安を吐露しながら、SNS上の関係と言えど、仲を深めていきます。
「ライムちゃん」は両親に出産を反対され家を出て、専門学校に通っていたが妊娠をきっかけに中退、彼氏と同棲している、と話していました。
話を聞いていくうちに、ライムちゃんが「妊婦健診には行っていない」こと、彼氏に浮気されているらしいこと、パパ活をしていることなどが明らかになります。心配した福は行政に頼る方法などを伝えようとしますが、丁度そのタイミングで切迫早産になりスマホは水没。連絡ができないまま、ライムとは音信不通になってしまいます。
紆余曲折ありながらも無事出産を終え新生児育児に奮闘する福でしたが、ある日兄である幸が、「永久来夢容疑者」が新生児を死亡させ、遺棄したとして逮捕されたとのテレビニュースを見ます―――。
主人公・福と対照的な存在
「ライムちゃん」は、主人公・福とは対照的な存在として描かれていました。
10代で妊娠したということ以外はすべてが逆。
福も妊娠したことで、学校で嫌がらせをされたり、家族がバラバラになりかけたりと困難がたくさんありましたが、妊娠の相手である彼氏・宝は逃げずに福と向き合っていたし、家族が出産に反対したりつらく当たったりしたのも福を大切に想うからこそ。
最終的には福の家族全面協力のもと、無事に出産を終え宝とも助け合って子育てしていくような未来を描いて物語は終わりました。
10代で妊娠した女の子の現実としては、恵まれすぎているといっても過言ではないでしょう。
一方「ライムちゃん」は彼氏はDVで籍を入れてもらえず、妊娠中にもかかわらずパパ活をしており、最後は新生児を遺棄して逮捕という結末でした。あまりにもむごい結末に衝撃を受けた読者も多いのではないでしょうか。
10巻でのライムちゃんの妊娠の結末を見て思うこと
10巻では、ライムちゃんの生い立ちから、出産に至るまでが描かれた番外編「来夢」が収録されています。
ただただ悲しい…。
ライムちゃんは、お腹の中の赤ちゃんに全く愛情がなかったわけでなく、「自分がされなかったことをしてあげたい」「名前を付けてあげたい」と福に話していました。それなのに、考え得る中で最悪の結末になってしまったことが悲しくて仕方ありません。
どこかで誰かが気付いて手を差し伸べていたら。福の話を聞いて、行政に頼っていたら。初めに受診した産婦人科が、適切な機関に繋いでくれていたら…。そんなタラレバを考えずにはいられませんでした。
家族関係の歪さ、兄弟間差別
番外編では、ライムちゃんの生い立ちについて詳しく描かれました。ライムちゃんの名前は本当は「来夢(くるめ)」という名前で、3人兄弟の真ん中っ子。母親から深刻な兄弟間差別を受けていたことが明らかになりました。
支援を受けるべき存在だった?
ライムちゃんの姉は「かしこいから母親に好かれている」ライムちゃんの弟は「かわいいから母親に大事にされている」そして、いつも母親からつらく当たられるライム。「自分には何もない」と自己肯定感をどんどん削られていく日々。
まさに、愛着障害の典型だと感じました。
愛着障害とは、乳幼少期に何らかの原因により、母親や父親など特定の養育者との愛着形成がうまくいかず問題を抱えている状態のことを言います。
(中略)
愛着障害のある子どもは、愛着形成から得られる自尊心や自立心、社会性などが育たずに成長していきます。大人になってから、社会の中で他人とうまくコミュニケーションが取れなかったり、自己肯定感が下がったりと「社会生活のしづらさ」を感じることでしょう。対人関係や社会性に困難がある大人の中には、愛着障害の可能性がある方もいると言われています。
引用元 大阪メンタルクリニック 梅田院 https://osakamental.com/symptoms/20.html
クラスメイトと関わるシーンがありましたが、対人関係も依存的で、うまく関係を作れない様子が描かれていました。
愛着障害に加え、発達障害をもっていたり、知能が健常と知的障害のはざまである「境界知能」であった可能性も感じました。もしそうであるならば、支援が必要な存在であったことは明らかですが、当然適切な支援を受けられる環境にないので、どんどん悪い方へ転がり落ちてしまうでしょう。
母親の愛を渇望しているライムの様子は胸が締め付けられました。本当に酷い。
また、父親の影が全く出てこなかったのもリアルでした…
「怒られたくない」が何より先に来てしまう悲しさ
来夢は妊娠後期と思われる時期に福と出会い、行政の支援を受けることを提案されますが、そのときに出た言葉が…
「おこられない?」でした。
あのとき手を伸ばせば適切な支援を受けて、最悪の結末にはならなかったかもしれないのに。あと少しだったのに。
理不尽に何でもかんでも母親に怒られ続けてきたことによって、自分に自信を持てず、差し伸べられた手も掴むことができなかった切なさ。
幼少期の適切な関わりがどれだけ大切か、胸にずしんと来たシーンです。
彼氏との共依存関係
ライムは専門学校で「拓哉」と出会います。拓哉と誕生日が同じことから意気投合し、彼もまた虐待(身体的な)を受けていたことが明らかに。共通点から恋人関係になる二人でしたが、そのうち二人の関係は歪なものとなっていきます。次第に拓哉が支配的になり、浮気、DVをするように。
親から適切な愛情を受けられなかったことで、大切であるはずの相手の愛し方が分からず、結局親と同じことを繰り返してしまう。まさに、負の連鎖といえるでしょう。
父親の責任は?
ライムちゃんは生まれた赤ちゃんをどうしていいかわからず、遺棄してしまい、逮捕。逮捕後のことは描かれていませんでしたが、一生十字架を背負って生きていくことになるでしょう。
一方、彼氏であり赤ちゃんの父親であった拓哉の責任は?彼も虐待を受け不幸な境遇で育ったことは同情します。けれども、妊婦をDVし、適切な医療を受けさせなかったことは重大な責任があると思います。
ライムは逮捕され、罪を背負って生きていくのに、父親は何もおとがめなしというのは、やりきれないなと感じてしまいました…。
ライムちゃんも、赤ちゃんも、守られるべき存在なのに
ライムちゃんがしてしまったことは、許されることではありません。命をお腹の中に宿しながら、適切な医療を受けず、挙句の果てにその命は消えてしまいました。
でも、赤ちゃんが守られるべき命だったのと同様に、ライムちゃんもまた、守られるべき存在でした。
最近のニュースでは、若い女性が自宅やトイレで出産しその後赤ちゃんを遺棄したという事件をよく耳にします。
そんなニュースに対して、SNSでは、「許せない」「望んでも恵まれない人だっているのに」「赤ちゃんを望まないならどうして避妊しないのか」などと言う声が上がります。
紛れもなくその通りなのですが、赤ちゃんを一人で産んで遺棄してしまう女性には、このライムちゃんのような背景があるのかもしれないと思うと、何とも言えない複雑な気持ちになるのでした。
蒼井先生が伝えたかったこと
この漫画を通して、作者の蒼井先生が伝えたかったことを考えてみました。
妊娠は後戻りできない
このマンガが掲載されていたのは『別冊フレンド』。読者の年齢層を考えると、中高生の女の子が多いと思われます。
まさにこれから恋愛を楽しみたい時期の女の子。その年代の女子に、「妊娠は後戻りできない」ことを伝えたかったのではないでしょうか。
好きな人と関係を作っていくことはとても幸せなことです。それと同時に、性交渉にはリスクがあります。そのリスクを背負うのはいつだって女の子です。
自分の体に命を宿してしまったら、もう後戻りはできません。産むのも大きな覚悟が必要だし、諦めるにしても心と体に大きな傷を負います。
相手任せではなく、自分の意思をもって、愛する人との関係づくりをしていくことの大切さを、女の子たちに知っていてほしい。そういう思いがあったと思います。
もし妊娠したら
それでももし妊娠したら。福や宝が公的な支援について調べ、話し合っているシーンがありました。
もし望まない妊娠をしたとき、そういう機関があることが頭の片隅にでもあれば、ライムちゃんのような悲しい結末は防げるかもしれません。
ひとりじゃないんだよ。ちゃんと助けてくれる人がいるよ。一緒に考えよう。
こんなメッセージが隠れていたと思います。
母を支える理想の父親像
主人公・福の妊娠の相手である宝は、避妊には失敗したものの、妊娠という事実に逃げずに向き合い、高校生男子とは思えないほど誠実で、頼りがいがあり、主人公に対して一途なイイ男です。
正直言って、高校生の彼女の妊娠というショッキングな出来事に対し、こんな成熟した対応ができる高校生男子は日本中探してもほぼいないでしょう。
現実として、10代の妊娠はライムと拓哉のような結末を迎えてしまうことの方が多いと思われます。
ではなぜ宝という出木杉君なキャラクターを出したのか。それは、「こんな男の子を見つけてほしい」という思いがあったのではないでしょうか。
宝は、彼氏として、そして父親としての理想像といえます。こんな誠実な男性とであれば、困難があっても共に手を取り合って乗り越えていけるでしょう。
「別冊フレンド」の読者層の女の子に対して、こんな人なら困難を乗り越えられるよ、子育てを共にしていけるよ、見た目のカッコよさや口のうまさに惹かれて傷つかないでね…という親心のような思いが隠されていると思います。
お得に読むには?
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まとめ
ついに完結を迎えた、蒼井まもる先生の「あの子の子ども」の登場人物である、「ライムちゃん」について、感想・考察をまとめました。
あの子の子ども10巻をコミックシーモアで無料試し読み!深く考えさせられるライムちゃんの結末でした。
ではではまたね♡
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